ブラック企業に一矢報い、ブラックを脱却させる(未払い残業代請求裁判)

飲食業界特化型の複雑な法律違反の企業に勤めている方に。未払い残業代請求裁判に関わるブログです。

第1章ー③ 固定残業代制度の要件

からの続きです。

 

三六協定がないと書きましたが、それだけでも結構なブラックです。

しかし、この会社には、就業規則”もない、のです。

ブラック企業ブラック企業たる所以、ブラック企業の鑑です。

 

給料に対して、予めひと月の残業時間を想定し、残業代を組み込んで支払う方法を、

【固定残業代制】と呼びます。

 

営業職の方などは、実際に会社に居る時間の方が短いので、

【みなし残業】等とも呼ばれていますが、

当ブログでは「飲食業界の方に向けて」という趣旨の下で話を進めますので、

【みなし残業】については割愛させて頂きます。

*1

 

この【固定残業代制】は、厳密には法律(労働基準法)等によって定義は

されていません

しかも、様々な判例を読むと、違法性があったり、この制度を認めるものまで

多岐に渡ります。

 

この、認めたり(違法性在り)認めなかったり(違法性無し)という判断基準ですが、

結局のところ、『ある要件』を満たしているかどうか?という点です。

 

『ある要件』とは・・・?

結論から書いてしまいますが、

1.就業規則、賃金規定に固定残業代制を定めているか?

2.三六協定を締結しているか?(代表者などの選定は後程)

3.上記1,2をきちんと周知しているか?(周知と掲示についても後程)

4.固定残業代を何時間分に定めているか?

5.の時間を超えた時には追加で支払う合意をしているか?かつ、超えた時に支払った実績があるか?

6.給与の内約が、基本給と“何時間分の”残業代か分かるように明記してあるか?

(その他の〇〇手当に含んでいるとか、聞いてないとか、細かいことは後日書きます)

7.残業代の計算が、時間外・深夜時間外・休日割増など、適正に計算されているか?

というところです。

これらの内、一つでも履行していないときには、あなたの固定残業代は

違法(無効)になることがありますし、追加で請求できる可能性があります。

 

つまり、【固定残業代制】というのは、経営者の方が考えているほど

簡単な制度ではない

ということです。

確かに、経営者や経理の方には(多少)メリットもあります。

 

そもそもこの制度が普及したのは、全従業員の労働時間を

イチから毎月分計算することなく、ある程度の時間までは「このくらい」と

決めて支払うモノですので、計算する手間を省けることからだと思います。

 

ただし、インターネットやSNSが普及しまくった時代ですので、

小手先の誤魔化しや、バレないだろうという考えはすぐに暴かれます。

 

ある労務専門家さんのブログでは、

実際は会社の側にはあまりメリットはなく、労働者側にメリットが大きい制度である

とも書かれている通り、ある一定以上の条件をクリアできる会社でなければ、デメリットこそあれども、メリットは少ないと思います。

 

※もし、今、経営者の方がこのブログを見ておられましたら、直ぐにでもその制度はやめてください。あとあと面倒なことになりかねませんよ?

 

次回は、先に挙げた各要件を詳しく解説してみたいと思います。

 

*1:詳しく知りたい方はコメントを頂ければ、説明させて頂きます